からはち(@kara_hachi)です。
最近では「フリーランスがいい!」、「副業万歳!」といった傾向になってきていますが、
「転職×副業」クラスタで一番有名な人と言えば、motoさんでしょう。
moto
1987年長野県生まれ。
地元の短大を卒業後、ホームセンターに入社。
リクルートや楽天など4度の転職を経て、現在は本業年収1000万円、副業年収4000万円を稼ぐサラリーマン。
都内の広告ベンチャーで営業部長を務める傍ら、ブログ「転職アンテナ」などを運営し、
2019年には日本最大級のASP「バリューコマース」から年間MVPとして表彰。
各種SNSを通じて、転職や副業、キャリアや営業戦略に関する知見を発信し、Twitterのフォロワーは1年で5万人を突破。
連日のように転職や副業を考える多くのサラリーマンの悩みに答えると同時に、
「東洋経済オンライン」や「新R25」など数多くのメディアにも取り上げられている。Twitter:@moto_recruit
転職と副業のかけ算生涯年収を最大化する生き方(SPA!BOOKS)
給料1000万円(現在は1500万円になっているそう)で副業が4000万円ですよ?
興味もたないはずがない!笑
そのmotoさんが「転職と副業のかけ算~生涯年収を最大化する生き方~」という本を出版したのは知っていたのですが、購入までは至っていませんでした。
しかし、実際に転職活動を開始したタイミングでKindle版を購入。
自分の備忘録も兼ねて、レビュー記事を書いていきたいと思います。
総評⇒数あるキャリア本の中で最も解像度が高い
世の中の本屋の棚にはキャリア本や転職本が溢れかえっていて、
何冊か読めば「あ~大体同じようなことが書いてあるな~」とわかります。
正直に言うと、“転職と副業のかけ算”にも書かれている「会社での立ち位置ではなく、市場価値の高い人間になろう」や「お金はもらうものではなく、稼ぐもの」、「軸をずらした転職」といった部分は、
他のキャリア本や、自己啓発本、マネー本などでもよく見かける考え方です。
ただ、“転職と副業のかけ算”が他のキャリア本と違うのは、「解像度の高さ」です。
キラキラした成功談で終わらせない
私自身は所属している会社の看板や、年齢、自身のスキル的には比較的、良い条件の転職希望者だと自負しています。
が、
それでも面接にはガンガン落とされます。
だから、私自身、
「市場価値を高めよう!そうすれば転職で収入も何もかもUP!」みたいな本は信用できないんですよね。
一方で、“転職と副業のかけ算”の場合、
「いくら市場価値を高めたり、履歴書を工夫したり、アプローチの方法を変えても書類選考で落とされる時は落とされる」というようなことが書いています。
僕は、転職活動をするときは毎回、10~15社くらい受けています。
転職歴が多いので、書類で落とされることも日常茶飯事です。
しかし、面接に進むことができれば、基本的に落ちることは少なく、自分が欲しい年収額についてもほぼ叶えています。
転職と副業のかけ算生涯年収を最大化する生き方(SPA!BOOKS)
「motoさんくらい市場価値の高い人間でも書類選考落とされる場合もあるんだ」と思う人もいるかもしれませんが、絶賛、転職中の私からすると、「本人の価値以外で不採用になることは割と日常茶飯事」ということです。
私自身、いくつかの会社の採用担当者やリクルーターの知り合いが多いのですが、
- 本社から急にポジションをクローズさせたため、不採用にした
- 転職歴が〇回以上の人は不採用
- 採用決定者が他からヘッドハントしたから、他の候補者は不採用
ということもよくあります。
motoさんはそれでも、PDCAを回し、自身のレジュメや資料をアップデートして、確度を高くする方法を説いています。
「内定の実績があります! 自分はこんなことができます!」という安っぽい資料を作ってメールを送り、面接で落ちるたびにその資料をアップデート。
さらにほかの会社にも送り、受かるかどうかを試していました。
転職と副業のかけ算生涯年収を最大化する生き方(SPA!BOOKS)
このように、単なるキャリア論だけではなく、motoさんが一人のサラリーマンとして転職活動を重ねてきたのか、その軌跡を通じて、解像度高く、理解することが出来ます。
転職活動者の精神安定剤になる
転職活動する人の中には、「なんとなく知り合いの紹介で転職した」とか「転職エージェントにすすめられて、なんとなく就職できた」という人がいるかもしれませんが、
“転職と副業のかけ算”のようなキャリア本を読んでいる人は
「今は○○な職種で、年収が○○○万円だから、スキルアップしたら次は○○に転職して~」
みたいなキャリアプランを立てていると思います。
しかし、
私もそうでしたが、実際は家族のことや、転職のタイミングなどで自分が思い描いたキャリアプランから大きくずれることがあるんですよね。
普通のキャリア本だったら、「なりたい自分から逆算する」みたいな書き方をするのですが、現実は想定通りにいかないことが多々あります。
「入社当初は出世する選択肢を描いていたけど、自分には政治力がないから、営業のスキルを生かしてほかの会社に転職して役職をつけよう」とか、
「営業のスペシャリストで転職を考えていたけど、今の会社で昇進できそうだから部長を目指してみよう」というように、
働いているうちに自分の向き不向きや環境要因などで、状況は常に変わっていきます。
なので、決して固執しすぎず、「もしかしたら、ほかの選択肢のほうが自分にとっていいキャリアになるかもしれない」と、
迂回ルートも視野に入れながら、地図を修正していけばいいのです。
転職と副業のかけ算生涯年収を最大化する生き方(SPA!BOOKS)
実際に面接を受けて業務内容や待遇が想像と異なることは多々ありますし、
時間が経つにつれて考えが変わる場合もあります。
しかし、転職活動をするのは自分一人です。
会社の同僚などにも言えないことが多いので、自分のキャリアプラン通りにいかないと、
「自分は社会に必要とされていないんじゃないか」と不安になり、自己嫌悪しがちです。
実際に私も何社か不採用をもらって自己嫌悪した時があります。
この自己嫌悪の期間って本当に辛いんですよね。
そんな時に“転職と副業のかけ算”を読むと「motoさんもいろいろ苦労したんだ~」、「だけど工夫もしているんだな」、「はたして自分はmotoさんほど転職活動をやり切ったのか」と感じるはずです。
ぶっちゃけ “転職と副業のかけ算” は転職に手こずっている人に対して、甘い言葉を投げかけてくれるわけではありません。(笑)
しかし、「こういうこともある」という現実と、「私はこのようにした」という改善を見せてくれます。
闇に落ちかけている転職者に必要なのは、「現状を肯定する甘い言葉」ではなく、
現実と次の戦略であり、それが一筋の光明になると思います。
なので、単なるキャリア本ではなく、精神安定剤みたいな役割があると思います。
次回作に期待すること
私の中でもう少し詳しく知りたかったのは、“転職と副業のかけ算”の「副業」の部分です。
そりゃ本業で1000万円の人は結構いますが、副業で4000万円の人は殆どいませんからね。(笑)
ただ、この本では
5章あって、転職に関しては3章、副業に関しては1章、まとめは1章という構成でした。
紙面の関係だったり、内容の粒度的を合わせるという理由があったかもしれませんが、
次回は本でもnoteでも副業部分にフォーカスしたものがあればいいなあと思います。
どんな人におすすめするか
“転職と副業のかけ算”は転職の比重が大きいため、「副業年収4000万円の秘密にせまれるかも」と思う人にとっては少し肩透かしになるかもしれません。
また軸をずらした転職を重ねながら、年収を上げてくことに注力しているので、
軸をずらすのが、厳しい40歳以上の人にはあまりマッチしないかなと思います。
逆に就活生や転職を考える20代~30代には非常に有益な本だと思います。
またmotoさん自身が短大生だったこともあり、大学に行くかどうか迷っている高校生にもピッタリだと思います。
あとは、「高校生や大学生の子供に色々な道を見せてあげたい」と思う親がプレゼントするのも良いと思います。
以上が、絶賛、転職活動中の私による“転職と副業のかけ算”の書評でした。