【2020年版】日本オラクルの会社概要・株価・業界内ランキングなどを徹底解説

からはち(@kara_hachi)です。

一般の人の知名度は低いのですが、IT業界内だと圧倒的な知名度を誇る「日本オラクル」

商用Databaseの市場シェアNo.1であり、ハードウェアからソフトウェア、オンプレミスからクラウドまで手掛ける巨大ITベンダー企業の企業情報を徹底的に解説していきます。

日本オラクルの会社概要

会社名日本オラクル株式会社(英語表記:Oracle Japan)
住所東京都港区北青山2-5-8 オラクル青山センター
電話番号03-6834-6666
設立年月日 1985(昭和60)年10月15日
事業内容Oracle Corporationの日本支社であり、
Oracle製品またはサービスの営業、導入を行っている。

日本オラクルの事業を一言で言うと、、、

日本オラクルの事業を一言で言うならば、「商用Databaseの世界市場シェアNo.1企業」であるOracle Corporationの日本支社です。

オラクルは145か国以上の様々な業界で40万社以上の顧客を抱え、特に各国の各業界のトップ企業でOracle Databaseを導入していない企業はいないと言えるほど圧倒的な存在です。

ソフトウェア業界では、IT業界の巨人であるMicrosoftに次いで、世界No.2の時価総額を誇ります。

日本オラクルの株価(東証一部:0417)

Oracle Corporationの株価(NASDAQ:ORCL)

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日本オラクルの主な歴史

1977年Oracle Corporation(この時は前身のSoftware Development Laboratories)を設立
1979年世界で初めての商用リレーショナルデータベース、Oracle Version2.0を発売
1985年日本オラクル株式会社を設立
1986年米オラクルNASDAQ市場へ上場
1991年社員犬制度の実施
1994年ピープルソフトの買収合意発表
1999年店頭市場への登録
2000年東証一部上場
2005年シーベルシステムズの買収合意発表
2008年オラクル青山センター竣工
2009年サンマイクロシステムズの買収合意発表

日本オラクルの売上高とOracle全体の売上高

(表)

日本オラクルのビジネスの特徴と強み

日本オラクルの事業の特徴と言えば、前述した通り、「商用Databaseの世界市場シェアNo.1企業」ですが、それ以外にも他社には真似出来ない強みがあるので、それを解説していきます。

【オラクルの強み】その①: 安定したOracle Databaseのライセンス売り上げ

(図1_Databaseのシェア率)

そもそも「データベース」はなんぞや?と思って調べてみると、「整理したデータの塊とか情報の集まり」と書いてあり、「??」と思ってしまいますが、めちゃくちゃざっくり言うと、「Excelの表」のようなものです。

その表をいくつもつなぎ合わせてデータを整理するデータベースはRDBMS(Relational Database Management System)と呼ばれ、世界で最も一般的なデータベースの種類になります。

オラクルが商用化したデータベース(Oracle Database)は、データベース黎明期の他のITベンダーを抑え、長年マーケットシェアNo.1に君臨し続けていました。

「GoogleとかMicrosoftは知っているけれど、Oracleがソフトウェア業界2位って信じられないな。。。データベースってそんなに儲かるの?」と思う人もいるかもしれませんが、

儲かります。笑

その理由が2つあります。

理由その①:多くのエンタープライズ(=企業)向けアプリケーションの下にはOracle Databaseが導入されている。

私達は普段、意識しませんが、あらゆるシステムには必ず、データベースが入っています。

コンビニのレジ情報、ATM、自動車、銀行取引、給与システム、営業管理システムなどなど。。

その下には、データを整理するデータベースが必須であり、そのマーケットは広大に広がっているのです。

このブログだって、情報は貸サーバ屋のデータベースに刻まれていますね。

私のブログのようなデータは吹っ飛んでもそこまで影響はないのですが、金融会社や公共サービスのデータが消失したらたまったもんじゃありませんよね?

なので、ある程度の規模のデータを扱う企業はデータベースを厳しく選定します。

そのような商材でシェアNo.1ということはOracle Databaseという製品自体の性能が高く、信頼性も非常に高い証なのです。

Oracle Databaseは非常に高額ですが、絶対にダウンさせてはいけないミッションクリティカルな大規模システムによく採用されます。

理由その②:データベースの切り替えは難しい(=継続的に使ってもらいやすい)

データベースはアプリケーションの土台となる部分であり、文字通りデータを格納する重要なものです。

そのため、データベースを切り替えるのは、アプリケーションを切り替えるよりもリスクになりがちで、切り替えに数千万~数億円使って、結局狙った性能が出せなかったり、プロジェクトが破綻する場合もままあります。

多くの社内のシステム管理者はデータベースを切り替えるのはかなり勇気が必要になるんですよね。

逆にビジネス的視点だと、比較的に継続的にライセンス契約を続けてくれる可能性が高いということで、かなり固いビジネスだと言えます。

【オラクルの強み】その②:ソフトウェアからハードウェアまで一貫して、提供可能

オラクルは2000年代以降、様々な企業を買収して、単なるデータベース屋ではなく、ハードウェアからソフトウェアまで提供できる巨大ITベンダーとなりました。

特に2009年のサンマイクロシステムズの買収は非常に有名で、この買収で、サンマイクロシステムズのハードウェア、OS、Java、オープンソースのMySQLなどもオラクルは手に入れました。

Oracle Databaseを中心に、最適化されたOSやアプリケーション、ハードウェアなどを提案することが出来るので、営業損失が少ないと言えるでしょう。

普通は、「ERPはSAPで、DBはOracle、ハードは富士通」というように、ベンダーがばらけますからね。

【オラクルの強み】その③:経営体力が万全すぎるほど万全

日本オラクルは2000年以降、増収増益を続けており、2019年は2000億円という大台を突破しました。

営業利益率も30%を超えており、利益率が比較的高いIT企業の中でもトップクラスだと言えます。

日本オラクルは外資IT企業には珍しく、東証一部に上場しています。

資金調達や人材確保という点で、東証一部上場というのは非常にメリットがありますが、

日本の法律に強く縛られたり、持ち株比率を誤れば、議決権を確保できなかったり、株主の顔色のみを覗う経営になるデメリットもあります。

ただ、日本オラクルの場合、株式の74%以上をORACLE JAPAN HOLDING,INC.という米オラクルの持ち株会社が保有しているので、資本比率的にもがっちり安定していると言えます。

オラクルの課題をまとめてみた

オラクルのビジネスの特徴や強みを説明しましたが、ここからはオラクルが抱える課題を紐解いていきます。

【オラクルの課題】その①:クラウド事業はかなりの後発組

オラクルの経営的な課題としては、「クラウド事業が弱い!」ということがあります。

15年前は顧客が保有するサーバなどにシステムを構築するのはオンプレミス(On-premise)が主流だったのですが、

今では自社でシステムやデータを持たず、インターネットを通じてサービスを利用するクラウド(Cloud)が大流行。

しかし、オラクルはその流れに乗り遅れてしまいました。

現在、クラウドのインフラ基盤(PaaS/IaaS)なら、Amazon Web Service(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)が3強となっており、Oracleのクラウド事業は「Next 10」と呼ばれる“その他”扱いされています。

なぜ世界No.2のソフトウェア企業であるオラクルがクラウドの潮流に乗り遅れたか?

ここからは私の想像になるのですが、主に、

  • クラウドの細かい商売ではなく、商談当たりの金額が大きいオンプレミスのシステムリプレイス案件に注力したかった
  • ハードウェアとソフトウェアの統合に注力していた

というのが理由になっていると思います。

クラウドのITサービスというのは自社でクラウド基盤を用意する必要があり、初期投資がめちゃくちゃかかる。

それなのに、月額数百円~数万円のようなスモールスタートを沢山集める必要があるので、損益分岐点を超えるまでに時間がかかるんですよね。

一方、オンプレミスのERPやDatabaseなどは1つの商談が数千万~数億円の規模です。

1件数万円だろうが、数億円だろうが、営業コストや契約事務コストは一緒です。

特にオラクルの場合、オンプレミスのデータベースで圧倒的な競争力を持っているので、

「クラウドは今後の潮流になるかもしれないが、今はオンプレミスのデカい案件を逃さないようにしなければ!」と営業力をオンプレミスに振りわけた結果なのでしょう。

事実、オンプレミス製品の営業や導入コンサルティングに力を入れた結果、ドットコムバブル以降、右肩上がりの成長を続けています。

ただ、この10年間で「市場を食い尽くした感」は出てきており、さらなる急成長を求めるなら、拡大を続けるクラウド市場に打って出る必要があり、

オラクルもSaaSであるOracle ERP CloudやIaaSのOracle Cloud Infrastructureなどに力を入れざるを得なくなってきました。

正直、AWSやAzureが築いた地位が盤石になりつつあるクラウド業界で勝てるのか?はかなり疑問ですが、後発組の利点(クラウド基盤をより効率的な新しい方式で構築することが出来る等)を活かして、健全な競争が出来るようになってほしいですね。

【オラクルの課題】その②:ライセンス費用の値上げと他社DBの追い上げ

先ほど、「オンプレミスの市場を食い尽くした」という表現を使いましたが、一番の契機は2016年のOracle Databaseの実質的なライセンス値上げですね。

廉価なライセンスを廃止し、会社によってはいきなりライセンス費用が2倍になったりするなどでユーザーの怒りを買い、

「Oracle Databaseなんか使わんわ!」という動きが起こりました。

しかし、データベースが儲かる理由でも話した通り、データベースの切り替えには大きなリスクが伴います。

その上、データベース市場はOracle Databaseが独占的な立場にあり、大規模システムのデータベースを切り替えようとしても、切り替え先が見つからず、結局、値上げを受けざるを得ないユーザーが殆どでした。

システムというのは、何年かに一回、保守切れや契約切れなどでリプレイスを行います。

2016年のライセンス値上げ後のリプレイスで、オラクルは増収増益を続けました。

しかし、

近年ではミッションクリティカルなシステムでもクラウドを採用する企業や自治体が増えつつあります。

例えば、住信SBIネット銀行とかですね。

2017年にインターネットバンキングシステムなどをAWSに乗せ換える際に、Oracle DatabaseからAWS上で動くAmazon Aurora DBに切り替えました。

このニュースが衝撃的だったのは、コストが80%以上も削減されたこと、日本最大のネット銀行のインターネットバンキングシステムという最重要ともいえるシステムをクラウド上に移行するということです。

Oracle Databaseの顧客は大企業や自治体などですが、住信SBIネット銀行のようなクラウド事例が増えると「うちも重要システムをクラウドに乗せ換えるか!」という流れがおきます。

そうなると、IaaS上で動く、AWSやAzure、GCPなどを導入し、その上にあるデータベースもそのままその会社のものを使うでしょう。

実際、オープンソースのデータベースや、クラウド基盤のデータベース、FirebaseなどのBaaSの台頭などで、Oracle Databaseのマーケットシェアはどんどん刈り取られている状態なのです。

オラクルの文化について

IT系のBtoB企業であり、積極的なブランド広告もしていないことから、

日本ではオラクルという会社の知名度はかなり低いですが、

創業の地であるアメリカでは知らない人はいない大企業です。それにはいくつか理由がありますね。

世界7番目のお金持ちである創業者「ラリーエリソン」

オラクルを創業したラリーエリソンはMicrosoftのビルゲイツや、Appleのスティーブジョブズなどと並び称されるほどの天才的技術者であり、経営者です。

困窮過程から世界屈指の大金持ち(総資産額668億ドル[約7兆円])になったアメリカンドリームの体現者であり、MicrosoftやAppleなどが生まれた1970~80年代のインターネット黎明期を生き、いまなおオラクルのCTO(最高技術責任者)として、会社に君臨しています。

経営者としてもサンマイクロシステムズの買収や、Googleとの訴訟など様々な話題を提供していますが、プライベートでも非常に破天荒で、

  • 高級物件マニアで世界に超高級自宅を十数件もっており、日本にも京都に80億円の豪邸がある
  • 4度の結婚と4度の離婚。結婚式にはスティーブジョブズがカメラマンとして祝福
  • アイアンマン2に本人役で出演
  • オラクルチームUSAという世界最古のスポーツトロフィーであるアメリカスカップのセーリングチームをラリー自らチームを創業、率いている。

などなどそのエピソードにはことかきません。

オラクルがスポンサードしているスポーツチーム

日本では目立ったスポンサード活動はしていませんが、アメリカではセーリングチームやバスケットボールチームなどをスポンサードしています。

2019年にはNBAのサンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地球場のネーミングライツを取得し、「オラクルパーク」としました。

日本オラクルの名物犬「社員犬・キャンディ」

日本オラクルの対外的なマスコットキャラクターとして、有名な社員犬です。

オフィスビルへの入場許可として、「吠えない・噛まない・臭わない・人なつこい・かわいらしい」という条件から選ばれたのが、オールドイングリッシュシープドッグでした。

現在のキャンディは四代目で、役職はグリーティング&ヒーリング アンバサダー。

在籍年名前役職
1991年1月~1991年3月初代 サンディ契約社員
1991年4月~2003年3月二代目 ハイディ正社員
2003年4月~2010年6月三代目 ウェンディ正社員
2010年10月~現在四代目 キャンディ正社員