ITコンサルタントに求められるコミュニケーション能力とは?【陽キャ不要!?】

からはち(@kara_hachi)です。

私が新卒で外資系IT企業に入社する時、一番不安に思っていたことは「俺は文系で、今までプログラミングとかしたことないけれど、ついていけるのかな」ということでした。

その不安を先輩に相談すると、彼らは口をそろえて「ITコンサルタントには技術が必要だけど、お客さんと話すコミュニケーション能力が必要」と言うので、

当時は「まあ、そんなもんかな」と思っていました。

が、実際にITコンサルタントとして働いてから、【ITコンサルタントに必要なコミュニケーション能力】が一般的なコミュ力とか全く違うものなので、記事にまとめてみました。

新卒でITコンサルタントとして採用された人や、エンジニアやSIerからITコンサルタントに転職したい人はぜひご覧ください。

「一般」、「社会人」、「ITコンサルタント」それぞれの必要なコミュ力は違う

「コミュニケーション能力」と聞くと、一般の人は「様々な人に自分から話しかけ、いつのまにか会話の中心になっている人物」のようなイメージを持つのではないでしょうか?

他にも「物静かだけど、皆が話しかけたくなるような人」、「誰かがイベントを企画すると必ず誘われるような人」などもコミュニケーション能力が高いと言えるかもしれません。

しかし、社会人になると痛感しますが、一般的なコミュニケーション能力と社会人が求められるコミュニケーション能力は全く別物です。

表にすると、こんな感じです。ようは「報告・連絡・相談」が大事になるということですね。

例えば、メールの返信に関係者を忘れずに含んだり、メモをとったり、”窓口”を意識した意思伝達をしたり、上司が自分の働きを把握するために、日報やカレンダーの公開を行ったりすることですね。

また何か問題が起きた時に、どこまでの関係者にどのレベルの話まで伝えればよいのか判断し、すぐに相談するのも『社会人のコミュ力】です。

正直、IT業界だけではなく、コンビニでも、居酒屋でも、電力会社でも、海外勤務でも必要とされる社会人としての基本的なスキルです。

そして、ITコンサルタントはこの【社会人のコミュ力】ともまた違うコミュニケーション能力が必要になるのです。

多くの人がITコンサルタントのコミュニケーション能力を誤解している

「ITコンサルタント」という名前の響きから、「お客さんが知らないことや気づいていないことを論理的に説明するためのプレゼンスキル。」と思っている人は多いと思います。

間違っていないのですが、それだけだと【ITコンサルタントのコミュ力】としては不十分です。

簡単に羅列すると、こんな感じです。

  • 顧客と話せるITリテラシーが必要
  • 営業は「夢を持たせる」が、ITコンサルは「現実に引き戻す」
  • 関単に「出来ます」と言わない
  • 作業工程にたっぷりとバッファ(余裕)をのせる交渉力

それぞれ書いていきたいと思います。

顧客と話せるITリテラシーが必要

ITコンサルタントのお客さんとはだれでしょうか?新卒でITコンサル希望の人はなんとなく「ITとか詳しくない人にIT製品紹介して、『このソリューションで業務改善できますよ』みたいなことを提案するのかな」と思うのですが、ところがどっこい。

ITコンサルタントが相手にする顧客というのは、多くは企業のIT部門や大手企業のIT子会社です。

簡単に言うと、IT技術者です。

IT技術者に対して、製品やシステム導入をするというのがITコンサルタントなので、当然、深い技術的な会話になります。

そもそも「このシステムを導入すれば業務改善出来ます!」と言うのは営業の段階で終了しています。

ITコンサルタントが出てくる場面はより具体的な提案と導入です。具体的に言うと、どういうシステムが存在していて、その各システムはどういうインテグレーションがされているのか、インフラ設計は?ネットワークは?セキュリティポリシーは?運用は?などより技術を理解しないと会話が出来ないレベルになります。

そして提案する人は技術上がりの営業スキルもあるシニアコンサルタントになります。そして、実際に手を動かすのは、20代~30代のITコンサルタントが中心になります。

もちろん仕事が出来る一部の人は20代後半からガンガン提案営業に行くことになりますが、それも技術が前提にあってのことです。

誤解を恐れずに言うと、「顧客と交渉出来るSIer」が【ITコンサルタントのコミュ力がある人】になります。

-営業は「夢を持たせる」が、ITコンサルは「現実に引き戻す」

この見出し通りですね。(笑)

営業がシステムやITコンサルタントを売り込む際には、「この製品にはこんな新機能が実装されました!」、「他のシステムも一緒に購入してくれれば○○%割り引くよ!」、「新しいバージョンだとバッチ処理が2倍早くなるよ!」とメリットを顧客に伝えます。

しかし、実際に導入しようと思ったら、営業の言ったとおりになる方が珍しいくらいに色々とトラブルが起きます。

例えば、期待していた新機能が実は海外にしか事例がなく、日本初導入だったり(多くの顧客はトラブルを避けるために前例を欲しがる。)、いざシステムのリプレイスを行おうとすると旧システムの仕様書やパラメータシートが紛失しているため、予想以上に工数がかかってプロジェクトが遅延したり、予期せぬエラーが発生したりするのはあるあるです。

また、どこまでがITコンサルタントが行う仕事で、どこまでが顧客自身が行うべき仕事なのかという作業範囲をあらかじめ決めておかないと後で揉めますし、炎上プロジェクトにすら発展します。

このようなことを避けるために、実際に営業してから、後半のフェーズに入ると、より細かい旧システムの仕様や背景をヒアリングする必要があります。

そして新しいシステムが実際に導入可能かどうかを随時確認するのです。この営業フェーズの後半から導入までの間に、営業が言っていたメリット(夢)を「実際に導入したらこれはちょっと難しいね。」と正確に判断(現実)するのがITコンサルタントなのです。

簡単に「出来ます。」と言わない。

営業の人とかに「勘弁してくれよ~」と思う時があるのですが、それはリリースされたばかりの新機能を簡単に「出来ます。」と言ってしまうこと。

営業は売るのが仕事なので、新機能を少々大げさに言うのもしょうがないかもしれませんが、ITコンサルタントにそれは許されません。

この新機能は実際に検証環境で動作したのか、他社の事例はあるのか、マニュアルは本当に合っているのか等を確認してから、「出来ます。」「出来ません。」を顧客に伝える必要があります。

そのため簡単に「出来ます」と言ってはいけないのです。

作業工程にたっぷりとバッファ(余裕)をのせる交渉力

プロジェクト全体でも個々の作業でも工数を見積もる機会が多くあるのがITコンサルタントです。

しかし、ITコンサルタントに関わらず、プロジェクトベースの仕事というのは、予期せぬトラブルでプロジェクト自体が遅延します。

IT関連のプロジェクトはその中でもプロジェクト期間が遅延する場合が多く、事前にヒアリングを繰り返し、練りに練ったプランが破綻することも珍しくありません。

そのため想定外のトラブルまで含んだプロジェクト工程管理を行わないといけないのです。

具体的にはプロジェクトにバッファ(余裕)を持たせることです。

もちろんバッファを含むとプロジェクト期間が長くなるので、顧客は良い顔をしないので、そこで「なぜこれだけの期間が必要なのか?」を説明する交渉力が必要になります。

ちなみに私自身も「作業どれくらいかかりそう?」と聞かれたら、最低でも作業予想時間に対して30%のバッファをのせて回答しますね。

長くなったので、まとめると・・・

  • 【ITコンサルタントのコミュ力】というのは、全て技術的会話が出来ることを前提としている
  • 営業は「夢」を売るが、ITコンサルは「現実」に引き戻す
  • 「交渉出来るSIer」が求められるITコンサルタント像

タイトルにある通り、ITコンサルタントに必要なコミュニケーション能力は「明るく、だれとでも仲良くできるコミュ力」ではありません。

必要とされるのは、【社会人のコミュ力】をベースに【交渉出来るSIer】のような技術力と交渉力なのです。