からはち(@kara_hachi)です。
私は外資系ITベンダーで現役のITコンサルタントとして働いているおり、 時々OB訪問や転職相談を受け付けているのですが、その際に結構質問を受けるのが、
「そもそもITコンサルタントってどんな仕事内容なんですか?システムエンジニア(SE,SIer)と何が違うの?」というものです。
今回は現役ITコンサルの私が世界一わかりやすく仕事内容を説明していきます。
ITコンサルタントの仕事とは?10秒で簡単に説明すると、、、
一言で言うと、「部署の業務をITシステム導入によって効率化する」ことです。
例えば、
会計システム、購買システムといったもの、あと人事管理システムですね。
他にも星の数ほどのシステムがありますが、共通する点は「今まで人が手で行っていた内容をITシステムによって省略する」ということです。
そこまでは多くの人がなんとなく理解できると思います。
が、
実際の業務はもっと多岐に渡ります。
ここからはキラキラしてそうなITコンサルの闇をどんどこ攻めていきますので、覚悟のある人だけ読み進めてください。笑
文系学部卒で「ITコンサルタントって何ぞや?」レベルだった私がITコンサルタントの仕事内容の真実をお話しましょう。
ITコンサルタントの仕事内容の真実と誤解
まずITコンサルタントの仕事内容で誤解されやすいパターンが2つあります。
それは
- ITシステムを導入の導入を顧客にプレゼンする
- 最新のITの技術力を学ぶことが出来る
というものです。
両方とも間違ってはいないんですが、色々と前提が抜けて誤解されやすい部分なので、実際の肌感覚として説明していきますね。
「 ITシステムを導入の導入を顧客にプレゼンする」はIT営業のフェーズがほとんど!
IT業界未経験の人が想像するようなITコンサルの仕事は、
「競合分析をしたり、顧客の業務分析を行った上で、適切なITシステムの導入を提案する」といったものが多いです。
間違ってはいないのですが、基本的に自社製品をプレゼンして「ほほ~!君のとこの製品っていいね!」と言われるのはIT営業のフェーズです。
ITコンサルタントの場合、IT営業の後半のフェーズで「実際にこの機能は使えるの?」とか「おたくのコンサルタントはどれくらいの工数(費用)必要なの?」といったことを説明する営業の後半フェーズで参加します。
この段階になると、お客さんも社内のIT部門の人になるので、ガンガン専門用語が飛んできて、営業だとわからないことが多くなり、ITコンサルタントを呼んで対応してもらうのです。
つまり、顧客に”提案”をしたいという人はITコンサルタントというよりもIT営業の方が向いているかもしれません。
文系出身のITコンサルタントで、「思っていた仕事と違った!」と、転職や退職をするのがこのパターンが多いです。
ITコンサルが絡む提案は年次(ロール)が高い人が実施するのが一般的
その上、このような提案に絡むのは、年次(ロール)が高い人になり、現場では技術支援も出来つつ、PMとしてマネジメント出来る年配の方が中心になります。
ここで理解しておきたいのは、
技術的な知識や経験がないと、何十年もシステム導入を行っていた経験値がバリ高の社内システム部門の人と会話すらできないということです。
システムというのは数百万~数千万、場合によっては何億も費用がかかるにも関わらず、期待していたパフォーマンスを出せなかったり、途中でバージョンアップが打ち切られたり、ベンダーロックに嵌められて、特定の会社に極度に依存するリスクもあるため、
ITシステムを導入する会社はめちゃくちゃ慎重になります。
「○○という機能があれば50パーセントのコスト削減できます。」みたいな話をする人もいますが、顧客としては「はいはい。わかりました。それで私達の環境で本当に期待値のパフォーマンス出せるの?あと計画通りに移行できる根拠は?」と聞かれるので、かなり技術的に踏み込んだ話をする必要があります。
と、
ここまで書いてきましたが、覚えておいて欲しいのが、
「ITコンサルも提案は確かに行うけれど、儀重的経験がある人が行うし、新卒ITコンサルはSEやSIerのような技術的なタスクも多いよ」ということです。
最新の技術を学ぶなら、大企業よりもメガベンチャーorベンチャーに行った方が良いよ
これは文系よりも理系の就活生が勘違いする傾向が多いのですが、「ITコンサルタントはCloud等の最新技術を学ぶことが出来る」というものです。
私は外資IT企業で数年間働いていますが、めちゃくちゃ技術的なことは行っていません。
基本的には(外資なので、)アメリカ本国で開発されたパッケージを日本の会社に導入するということを行っています。
そのため導入先の顧客の環境調査やリスクアセスメント、要件定義などの調査や資料作成の時間がどうしても多くなりますし、クラウド製品の理念として「製品が顧客に合わせるのではなく、顧客が製品に合わせる」となっており、基本的にアドオン開発などはなるべく行わない方針になっているのです。
実際にクラウドということは、サーバサイドは顧客もITコンサルタントも手の出しようがないので、何かバグが起きたとしても、ただクラウド環境を管理しているエンジニアに問い合わせることしかできないのです。
特に最近ではIaaS分野での発展が目覚ましく、「将来はバックエンドの知識が必要にならなくなるのでは?」ということで技術的に何かを開発するという案件は激減しています。
そのため、
もし、あなたが「何かのプログラムを作りたい、最新の技術を学びたい」と思うのであれば、ウェブ系メガベンチャーなどで技術力を深めることをオススメします。
ゼロから新しいアプリケーションを導入することはほとんどない
IT業界に全く触れたことがない就活生が目を輝かせて「私は業務をITシステムによって改善したい」と言ってきますが、
残念ながら、新規の大規模なシステム導入は20年前くらいのITバブルの時点で導入しきっています。
つまり「ゼロから新規の大規模システム導入」というのは殆どありません。
多くは
- 保守期間が切れる
- ライセンスの値上げの関係で、別のシステムを導入したい
- 部内の予算を使い切りたい
というような「どちらかと言えば、ネガティブな理由」でアップグレードや他システムからの移行をしたいというのが大半を占めます。
なので、新規でガンガンITシステムを入れるというのは、ミッションクリティカルではない小さいシステムをSaaSなどに置き換えるのが多くなります。
このように”業務効率化”というよりも”つつがなくシステム移行を完了させたい”という気持ちを持っているお客さんが多いのが実情です。
ITコンサルタントの種類
Itコンサルタントはいくつかの種類に分かれます。
まずざっくりと二つに分けると、プロジェクトマネージャーとITアーキテクトに分かれます。
プロジェクトマネージャーの仕事内容とは?
プロジェクトマネージャーにはPMとPMOがいます。
- PM⇒Project Manager
- PMO⇒Project Management Office
細かい仕事内容を書くと、長くなるので、ざっくり説明すると
- PM⇒実質的に顧客とやりとりするリーダー。工数管理を行い、場合によってはプレイングマネージャーとしてアーキテクト(作業)業務を行う
- PMO⇒プロジェクトの工数や費用の交渉。場合によっては業務レベルでの進捗管理。
PMは文字通り、作業者を管理するのが仕事ですが、私の観測範囲だと自分も作業者としてゴリゴリ導入をしているというPMもいます。
(大体の場合、これは俺の仕事じゃねえ・・・と言いながらやっているイメージです(白目))
一般的なIT企業で作業者以上にキャリアアップしていくなら、その王道がPMへの昇進です。
PMOはプロジェクトの「そのプロジェクトは赤字にならないよね?」というマージン管理や工数上乗せの交渉など、プロジェクトを進めるための契約周りを顧客と調整する仕事になります。
ただ、戦略コンサル会社の中のIT部門だったら、PMOとは名ばかりの業務部分のQA対応の進捗のみを行っている場合もあります。
基本的な体制図としては、PMOの下にPM、さらにその下にITアーキテクトが集まるのが基本です。
ITアーキテクトの仕事内容とは?
ITコンサルの中で実際に手を動かして、検証環境を構築したり、移行作業やバグ対応を行うのが、ITアーキテクトになります。
まずITコンサルとして採用されたら、この職種になることが多いでしょう。
そしてそれぞれの専門性を磨いていくことになります。
私の場合は某社のオンプレミスのERP製品やクラウドID認証などですね。
これは部署によって担当製品が異なっているので、一言で説明が難しいのですが、主に
“製品導入”か”開発”になります。
ここまで話した通り、ITコンサルが最低限、身につける必要があるのが、「技術力」のため、新卒や第二新卒、未経験の多くはITアーキテクト(作業者)としてプロジェクトにアサインされます。
ここでの仕事は、PMから割り当てられた期限とタスクを実施するのが、主な作業になります。
- 機能要件、非機能要件からドリルダウンした資料作成
- 検証環境の構築
- 顧客システム環境の確認
- アドオン開発
- インターフェース開発
- 画面開発
- API開発
- スクリプトの作成、および修正
などになりますが、
基本的にはITコンサルタントはパッケージ製品やクラウドサービスの導入を行うので、割合としては、上から3つの作業が多くなりますね。
昔は、アドオン開発も多かったですが、クラウドサービスを推し進める会社だとあんまり開発はしないんじゃないかと思います。
ITコンサルタントの年収
ITコンサルタントの年収は、新卒一年目の最低金額でも年収400万円以上はあるでしょう。
イメージとしては下記の通りです。
- ITコンサル(ITアーキ初心者)→1年目~4年目:400万円~700万円
- ITコンサル(ITアーキ中級者)→3年目~6年目:600万円~800万円
- ITコンサル(PM)→8年目~15年目:800万円~1200万円
- ITコンサル(PMO)→15年目以上:1000万円~1500万円
ただ最近ではitコンサルと名乗れば作業所の単価が上がるという理由から、単に派遣されているエンジニアにitコンサルタントという肩書きが書いてある名刺を渡してあるパターンもあります。
そうなると肩書きはitコンサルタントでも実際にやっていることはSESの作業と全く同じなので給料もそれなりの金額になってしまいます。
もしITコンサルタントと名乗っているのに、年収で300万円台しかもらっていない人は本当にITコンサルタントの仕事なのか?派遣SESではないのか?自分の状況を見直してみて、異動や転職を考えても良いかもしれません。
あるITコンサルタントの1日の流れ
【月曜日】
10:00-11:00 部署のミーティングに参加
11:00-13:00 顧客(A会社)へのセッション資料の作成
13:00-14:00 昼ご飯
14:00-17:00 引き続き顧客(A会社)へのセッション資料の作成
17:00-18:30 PMによる資料レビュー
【火曜日】
9:00-19:30 顧客(B会社)でERP移行の検証作業
【水曜日】
11:00-12:00 部長と1on1ミーティング
12:00-13:30 同期と外で昼ご飯
13:30-16:00 顧客(B会社)で発生したエラー調査
【木曜日】
10:00-18:00 家で顧客(A会社)のセッション資料作成
【金曜日】
10:00-12:00 家族が風邪をひいたため、病院につれていく
12:00-14:00 顧客(A会社)でセッション実施
14:00-15:00 社内タスクの実施
15:00-19:00 顧客(B会社)の移行手順書の作成
19:00~21:00 新製品知識のキャッチアップ(自己勉強)
あるITコンサルの1日というか、私の一日ですね。笑
最近ではクラウド導入プロジェクトに関わることが多いので、客先常駐することが少なくなりました。
またミーティングのない日は積極的にリモートワークしているため、出社しない日もありますね。
これはプロジェクトが燃えていない時の状況ですが、炎上プロジェクトにアサインされた場合は週5日顧客先で対応に追われるということもあります。
最近では、IT業界(特にクラウドサービスを提供する会社や部署)では、リモートワークやフレックスタイム制を導入する会社が多いので、「会社にいなきゃ出来ないタスクがなければ、家で作業しようぜ!」という機運が高まっていると思います。
このように会社や部署、プロジェクトによって働き方が大きく変わるのが、ITコンサルタントの働き方の特徴になります。
なぜ私がITコンサルタントの仕事内容に関して、詳しく書いたか?
この記事を通して、なぜ私がITコンサルの仕事に関してここまで詳しく書いたかというと、私の同期達が何人も「こんな仕事だと思わなかった」という理由で退職をしており、
「ITコンサルの仕事を誤解し、ミスマッチして辞める人を少なくしたい」という気持ちがあるからです。
特にこの記事を読んでいる人はITコンサル未経験の人が多いと思いますし。。。
あとそもそもITコンサルタントの情報が少ないという理由も挙げられます。
ITコンサルタントというのは、戦略コンサル的な部分とSE(SIer)的な部分が5:5くらいなのですが、会社によっては完全にSIerなのに、「ITコンサル」と名乗ったり、ただ顧客のQA管理しているだけでPMOと名乗ったりするなど、定義がふわふわしているのです。
また、会社によってはベンダー選定をサポートしたり、窓口になっているような技術的要素が必要ないITコンサルタントもいます。
つまり、私がここまでつらつら書いてきた内容もあくまで”私の中のITコンサルタントの仕事内容”のイメージということですね。